脊髄損傷の賠償請求に役立つ
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02脊髄損傷の症状や留意事項
- このページでわかること
- 脊髄とは、背骨の中にある中枢神経で、脳から連続しており、全身に指令を送る神経系統の中心的な働きをしています。交通事故などで怪我をして損傷してしまうと、損傷部分から下へ脳からの指令が届かなくなります。その結果、四肢の運動麻痺だけでなく、広範囲の感覚麻痺、腹部臓器の機能障害、自律神経機能障害など、重篤な後遺障害が残ります。また、副次的な症状として、褥瘡や尿路感染、呼吸障害、骨粗鬆症等が生じやすいので、介護には十分な注意が必要になり、介護者に大きな負担がかかります。
このページでは、脊髄損傷かどのようなものであるかや、発生する様々な症状について見ていきます。
脊髄損傷とは?
背骨の中にある神経が損傷し、完治せず麻痺等が残ります。
脊髄損傷とは、背骨の中の空間(脊柱管)に保護される形で存在している中枢神経である脊髄が傷つき、傷ついた部分から下部の神経に脳からの指令が届かなくなり、感覚機能の障害(麻痺)・運動機能の障害・自律神経の障害等が起こることです。主に交通事故やスポーツなどによるけが(脱臼骨折・破裂骨折等)などが原因で生じます。
脊髄は、解剖学的には第1腰椎より高位に存在し、第2腰椎以下には存在しません。しかし、第2腰椎以下の脊柱内の馬尾神経が損傷された場合でも、脊髄の損傷による障害である、下肢の運動麻痺(運動障害)、感覚麻痺(感覚障害)、尿路機能障害または腸管機能障害(神経因性膀胱障害または神経因性直腸障害)等が生じるため、交通事故では脊髄損傷に含めて運用されています。また、広義の脊髄損傷には馬尾神経損傷が含まれます。
脊髄損傷の症状は?
脊髄損傷で生じる症状全般
脊髄を損傷すると対麻痺や四肢麻痺等が生じ、広範囲にわたる感覚障害や尿路障害(神経因性膀胱障害)などの腹部臓器の障害が生じます。脊柱の変形障害・運動障害が認められることもよくあります。脊髄損傷では、四肢麻痺あるいは対麻痺(下半身麻痺)となることが多いと言えます。
脊髄の損傷高位と症状
脊髄損傷では、麻痺の範囲は損傷高位によって異なります。頚髄損傷は四肢麻痺、第2腰髄から上が損傷されると下肢全体が完全麻痺したり、不完全麻痺になります。損傷した箇所以下の部分に障害が残るため、損傷箇所が高いほど麻痺の範囲は広くなります。
脊髄最深部(第3仙髄以下)の損傷では、下肢の麻痺は生じないものの、肛門周辺の感覚障害や尿路障害が生じます。馬尾神経が損傷された場合には、脊髄そのものとしては第3仙髄以下が損傷されたにすぎない場合でも下肢の運動障害が生じることがあります。
脊髄の損傷範囲と症状
脊髄損傷は、脊髄の全断面にわたって生じた場合と、いずれか半側または一部に生じた場合とによって、その症状が異なります。脊髄の全断面にわたって生じた場合は、障害部位から下方の感覚脱失または感覚麻痺が、運動麻痺とほぼ同じ範囲に生じます。
いずれか半側または一部に生じた場合のうち、脊髄のいずれか半側を損傷した場合は、半側の運動障害及び感覚障害のほか、他の側の感覚障害が生じます。
脊髄損傷で生じる麻痺以外の症状
①尿路障害
脊髄損傷では、膀胱に尿をうまくためられないために起こる尿失禁や、尿をスムーズに出せないなどの症状が生じます。
②腸管障害
脊髄損傷では、直腸、肛門括約筋、骨盤底の筋肉のコントロールが困難になることがあります。脊髄損傷の発生高位によって、便秘又は便失禁が起こります。
③自律神経機能障害
自律神経過反射
T6以上の脊髄損傷で、心拍数の低下に伴う血圧の上昇、頭痛、鼻閉塞、呼吸困難、マヒしている筋肉の痙攣・痙性が生じることがあります。また、血圧が急激に上ったり下がったりして命にかかわることがあります。
体温調節機能障害
自律神経の発汗中枢があるT4より高位の脊髄損傷で、気温が高い場合に異常高体温になり、熱中症と同じように危険な状態になることがあるため、注意が必要です。
低血圧・起立性低血圧(起立性調節障害)
末梢血管の調節が障害されていると、重要臓器への血流が維持できなくなり、体を起こすだけでめまいが生じたり、脈が異常に速くなったり、一過性に意識を失ったりすることがあります。
深部静脈血栓症
頸髄損傷で自律神経が障害されると、動脈が拡張した状態となるため血圧が下がり、また、筋肉が緩むので血流が悪くなります。血流が悪くなることで、浮腫や深部静脈血栓症が起こりやすくなります。血栓がちぎれ飛ぶと、肺塞栓症や心筋梗塞を起こすことがあります。
脊髄損傷で注意すべき副次的症状等
①褥瘡
脊髄損傷になると、感覚がマヒしている部分では痛みを感じないため、長時間同じ姿勢で圧力をかけていることがあります。そうすると、圧迫を受けている部位の血流が低下したり無くなったりして、その部分の組織が死んでしまうことがあり、これを褥瘡と言います。褥瘡は死亡につながることもあるため、防止することが重要です。
防止のためには、車いす利用時や就寝時に長時間同じ姿勢にならないようにしないといけません。
②尿路感染
脊髄損傷では、適切な排尿方法を取っていても尿路感染症による発熱等が起こることがあります。尿をためすぎず定期的に導尿を行うこと等が大切です。
③呼吸障害
人工呼吸器が必要ではない場合でも、頚髄損傷と高位胸髄損傷は、呼吸筋である胸廓を膨らませたりしぼませたりする肋間筋とか肋骨挙上筋などの機能にマヒの影響がでます。くしゃみや咳払いがうまくできなかったり、嚥下がうまくいかなかったりするために、タンなどが肺に溜まりやすくなり、肺炎や呼吸器系の病気になりやすくなります。
C5以上の頚髄損傷では、肺活量が小さく、風邪をひくと肺炎を起こして危険な状態になることがあります。
④胃腸機能障害
脊髄損傷になると、胃腸の機能低下、運動不足、お尻を前に出して背中を丸めて座る姿勢等により、腸管内通過障害が生じ、腹痛、嘔吐、ガスと排便の停止が起こり、おなかがはってしまうことがあります。
⑤骨粗鬆症
脊髄損傷になると、血流悪化や骨に負荷をかけることが減ることで、骨粗鬆症になることがよくあります。
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