交通事故の示談交渉における
自転車運転中の事故の
ポイント
示談金額や後遺障害等級認定に関する
保険会社からの提示を鵜呑みにしない
自転車に乗っている人はヘルメットを着用していないことが多く、自動車との事故に遭うと、頭を損傷して、高次脳機能障害などの重度後遺障害が残ることも珍しくありません。そうなると、高位の後遺障害等級が認定され、示談金額も高額になります。ただ、見落としがちな点として、道路交通法上、自転車も車両と扱われるため、過失相殺される事案が多いことが挙げられます。
こういった特徴はバイク事故にも共通することですが、自転車運転中に自動車との交通事故で怪我をし、相手側の保険会社と示談交渉をすることになった場合の注意ポイントを見ていきたいと思います。
保険会社とのやり取りで注意すべき点
- 意外と出てしまう過失割合
- 後遺障害診断書をよく確認しないと、低い後遺障害等級が認定される
- 保険会社のペースで示談手続きを進められてしまう
自転車側の過失割合
自転車は意外と過失割合が出てしまう
歩行者と自動車の交通事故でもちょっとした不注意で歩行者側に過失が出ることがよくありますが、自転車と自動車との事故では、加害者の車が信号を無視して衝突して来た場合などは例外ですが、歩行者対自動車の事故以上に過失割合が0%にはなりにくいのが現実です。
これは、自転車が二輪とはいえ軽車両に該当し(道路交通法2条1項11号)、車両(道路交通法2条1項8号)として扱われ、自転車を運転する人に歩行者よりも重い注意義務が課せられていることが影響しています。
過失割合:
交通事故が起きた場合、双方の当事者が負う責任(=過失)の割合のことです。 自転車と自動車の事故でも、この過失割合の数字が慰謝料請求の際に重要になります。
当事務所にご依頼いただく事例の中で、代表的な事故状況における自転車側の基本的な過失割合は表の通りです。
事故の状況 | 過失割合 |
四輪車が信号無視をしてきた場合の出合い頭事故 | 0% |
四輪車が非優先道路走行、自転車が優先道路を走行の場合の出合い頭事故 | 10% |
四輪車が一時停止規制のある道路を走行していた場合の出合い頭事故 | 10% |
自転車が青信号横断歩道走行、四輪車青信号右折の場合 | 10% |
自転車が青信号横断歩道走行、四輪車青信号左折巻き込み事故の場合 | 10% |
自転車が歩道を走行中、路外の駐車場から出てきた四輪車と衝突した場合 | 10% |
自転車対四輪車の事故では、なかなか過失割合が0%にならないことが分かります。自転車に対する一般的な意識と、自転車の法的な位置づけが違うことが影響しているところですので、やむを得ない面があります。 過失割合は警察が決めるものではなく、示談において当事者間で決めることになります。自転車の場合、一定の過失割合が出ることも多いですが、事故状況を踏まえた適切な過失割合にする必要があります。人身の示談解決の場合、過失割合を明示せず示談金額の総額を決めるという方法もあります。
示談金額と過失割合の関係
自転車側に過失割合が認められると、示談金額にも影響が出ます。慰謝料が60万円の場合、過失割合が10%であれば54万円になります。ただ、一般的には、治療費が保険会社から病院に支払われていますので、示談の時に受け取ることができる金額はさらに低くなってしまいます。
示談金額計算方法の一例
治療費60万円、慰謝料60万円、過失割合10%、治療費は保険会社から病院に全額支払済みの場合
治療費/60万円(①)
慰謝料/60万円(②)
過失割合/10%
過失減額/12万円(③)
既払金/60万円(④)
示談額/48万円(①+②-③-④)
物損部分については、加害者側にも損害がある場合、過失割合に応じてそれぞれが支払うことになるか、相殺により処理をするのが原則です。また、損害額がそれほど大きくない場合には、自損自弁として、物損処理をしない場合があります。本来受けられる賠償を受けられなくなるという問題はありますが、物損の処理の時点で過失割合の争いを先鋭化させないことや、自転車運転者にとって賠償金を支払わなくて済むというメリットがあります。そのため、自転車被害事故の場合、自損自弁で物損を解決するケースが数多くあります。
物損処理方法の一例
加害者物損10万円、加害者過失90%、被害者物損1万円、被害者過失10%の場合
加害者が支払うべき金額/1万円×90%=9,000円
被害者が支払うべき金額/10万円×10%=1万円
となり、加害者が被害者に1万円を支払い、被害者が加害者に9,000円を支払うか、相殺して、加害者が被害者に1,000円を支払うことになります。ただ、上記のように、物損の金額が小さく、お互いに支払うべき金額が近いことから、自損自弁としてお互いに支払いをしないことも考えられます。
適切な後遺障害等級認定を受け、妥当な示談金取得へ
交通事故の慰謝料交渉は弁護士依頼がお勧め
交通事故で怪我をした場合、治療費や交通費以外に、入通院慰謝料(傷害慰謝料)を請求できます。任意保険会社が被害者の方に提示してくる金額より、弁護士が交渉した方が金額は大きくなることが多いため、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼することをお勧めします。
後遺障害が残った場合は、別途、逸失利益と後遺障害慰謝料を請求できます
一定の治療期間が過ぎても症状が治らずに残り後遺障害が認定された場合は、今後の収入についての逸失利益と、長引く苦痛や生活の困難に対しての慰謝料を請求できます。 後遺障害の認定には、まず等級認定の申請が必要です。医師の作成する後遺障害診断書などの資料を用意して、保険会社に申請します。等級は障害の程度や内容で1~14級に区分されています。等級が1つ違うだけで示談金額に大きな差が出るので、認定申請には十分な準備が必要です。
弁護士がお答えします
家族が交差点で自動車に衝突され、頚髄損傷で後遺障害等級1級の認定を受けて車いす生活なりました。保険会社から示談金額が提示されましたが、妥当かどうか判断がつきません。金額が妥当かどうか教えていただけますか?
保険会社の提示する金額は、弁護士の目から見ると低い金額であることがほとんどです。保険会社から届いた書類を拝見して、どの項目がどの程度増額になりそうか、無料診断をさせていただきます。
後遺障害1級であれば、生涯の介護費用の確保は不可欠ですから、交通事故解決の経験豊富な弁護士に依頼し、適正な示談金が得られるように交渉してもらう必要があります。
無料相談では、解決までの方針・手続き、弁護士費用の説明やお見積りもお伝えしますので、安心してお越しください。
夫が歩道上を自転車で走っていて、駐車場に入ろうとした自動車に衝突されて亡くなりました。死亡事故の交渉も弁護士に依頼することはできるのでしょうか。
おたずねの様な事故状況では、一般的には自転車側の過失割合は10%となります。しかし、死亡事故で示談金額も高額になると思われますので、刑事記録を取り寄せて、事故状況を詳しく検討する必要があると思います。仮に、加害者側にアクセルとブレーキを踏み間違えるような重大な過失があったり、ご主人がご高齢であった等の事情があれば、過失割合が0%になる可能性があります。また、弁護士に依頼すれば、死亡慰謝料は2,000万円~2,500万円(一家の支柱の方であれば2,800万円)の範囲で交渉することが可能です。
弁護士のまとめ
自転車運転中に交通事故被害に遭った場合、怪我の治療と並行して、相手方保険会社との交渉が必要になります。その交渉にストレスを感じる方も多いと思いますが、弁護士にご依頼いただければそのストレスから解放されることと思います。
「みお」は自転車の運転中に交通事故被害に遭われた方からのご依頼も数多く寄せられていますので、できるだけ早い時期にお気軽にご相談ください。
保険会社から届いた書類を、スマートフォンで撮影してお送りください。弁護士が、あなたの慰謝料・示談金をチェックして、弁護士が交渉した場合の示談金額の目安をご報告します。
後遺障害等級1~5級の方やそのご家族のご相談を承ります。
お迷いなら、まずは無料相談をお試しください。
交通事故の被害に遭われて、慰謝料・示談金の交渉で
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