「高次脳機能障害」の賠償請求に役立つ
様々な情報をご紹介しています。
02高次脳機能障害の有無や程度の判定について
- このページでわかること
- 01)「交通事故で高次脳機能障害になった場合の弁護士相談の重要性」では、「高次脳機能障害」とはどのような症状か、弁護士に相談することで慰謝料請求など今後の生活にどう関係するのかをご説明しました。ここでは、「高次脳機能障害」の可能性の判断や、その診断や判定について、ご説明します。
高次脳機能障害はなぜ起こるのか?
交通事故で脳にダメージを受けた結果です。
脳は、簡単に言うと、神経線維が複雑に入り組みながら、相互に密接な関連を持ちつつ機能しています。また、脳が機能するためには、大量の酸素や栄養が必要となります。しかし、交通事故で脳がダメージを受けると、事故の衝撃で神経線維が引き裂かれてしまい、脳の各機能が連携を取ることができなくなります。 また、脳が腫れ上がったため酸素や栄養の供給がうまくいかずに、脳細胞の一部が死滅してしまうこともあります。そのため、脳機能に重大な障害が引き起こされてしまうのです。 最低限の生命維持に必要な呼吸中枢などがダメージを受けた場合には、死亡してしまうことになります。 最近は救命救急の水準の向上により、多くの方が死の淵から生還されていますが、その代わりに高次脳機能障害を負う方が増えています。
こんな症状が見られたら、可能性があります
事故後に、性格や行動の変化が見られたら・・・
交通事故で頭部に怪我を負った場合、コミュニケーション、感情のコントロール、目的の設定と遂行が困難になる等の障害が残る場合があります。本人には自覚しにくく、第三者にはわかりにくい症状が多いため、障害の有無や程度の認定がむずかしいと言われます。周りの方たちから見て、事故の前と人柄が大きく変わった、行動や認識が違うなどということを感じたら、高次脳機能障害の可能性が高いことを知っておいてください。 ひどく怒りっぽくなった、人の気持ちに無神経になった、無責任、忘れっぽい・・・.それは、その方が悪いのではなく、交通事故の怪我のせいかも知れないのです。
医学的な高次脳機能障害の判断方法
自賠責保険では、以下の条件に当てはまるかどうかで判断します。
- [A]一定時間の意識障害の継続(例えば、脳外傷直後の意識障害がおよそ6時間以上継続する症例)。
かつ、 - [B]脳挫傷、くも膜下出血、びまん性軸索損傷(びまん性とは、「広範囲に散在する」という意味。軸策は脳の神経線維とイメージしてください)などの傷病名がついていること。
かつ、 - [C]初診時の画像との比較で慢性期の画像に脳室の拡大や脳萎縮がある(PETやSPECTも所見の一つとなりえます)
かつ、 - [D]高次脳機能障害を疑わせる症状があること
- 失 語:(運動失語や感覚失語)
- 失 行:(運動失行、観念失行、着衣失行)
- 失 認:(視覚失認、半側空間無視、聴覚失認など)
- 地誌障害:(よく知っている道で迷う、新しい道が覚えられないなど)
- 記憶障害:(すぐ忘れる、作り話をするなど)
- 遂行機能障害:(指示なしで行動できない、計画が立てられない、判断できないなど)
- 注意障害:(気が散りやすい、作業が長続きしない)
- 人格変化:(怒りっぽい、忍耐力がないなど)
症状と、各症状を客観的に判断する検査
ここでは、事故によって頭部(脳)が損傷して発生する高次脳機能障害の症状と、各症状を客観的に判定する検査についてご説明します。
- 失語
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話す、聞く、読む、書くなどの障害をいいます。感覚失語(言葉の意味がわからない)や運動失語(言葉がなかなか出てこない)に分けられるとされています。標準失語症検査などで失語の有無を確認することになります。
実施される検査
- 標準失語症検査 (SLTA:Standard Language Test for Aphasia)
- 失行
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筋肉の麻痺はないのに、意図した動作が難しくなり、運動ができない状態をいいます。
実施される検査
- 標準高次動作性検査
- 失認
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今までは「知っていた」ことが、理解できない状態になることをいいます。たとえば、手に触れたものが何であるかを理解できないといった状態です。
実施される検査
- 標準高次知覚検査
- 立方体模写
- 記憶障害
同じことを何度も話す、質問するなど、「覚えられない」「すぐに忘れる」などの症状が、記憶障害にあたります。
実施される検査
- WAIS-R(知能テスト)
- WMS-R(記憶テスト)
- 注意障害
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何らかの作業を行う際にミスが多くなったりします。また、一つの作業なら問題なくできても、二つ以上になると、一つのことを疎かにするといった症状もあります。たとえば、野菜を刻みながら、「やかんを火にかけたままにする」「蛇口から水を出しっぱなしにする」といったものです。
実施される検査
- かな拾いテスト
- Trail marking test A
- 有意味文書におけるかな拾いテスト
- Stroop test
- Trail marking test B
- 遂行機能障害
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日常生活の中で、目標を設定し、計画を立て、順序立てた行動で計画を実行する機能です。例えば、歯を磨く、服を着替えるという目標について、自分からは何もしない、あるいは、指示なしでは行動できないなどの症状をいいます。
- 情動・人格の障害
情動面としては、家族の指示がないと何もせず、ただボーッとしている状態になったり、人格面としては、些細なことで怒り易くなったり(易怒性)するといった症状があります。
検査に漏れがないかご注意ください
「高次脳機能障害」であるかどうかや、後遺障害等級認定の審査は、「診断書」と「検査結果画像」に基づいて行われます。もし、認定の判断に必要な検査に漏れがあったら?自覚症状の聞き取りが不十分だったら?そんなことのないよう、「診断書」と「検査結果画像」を入念にチェックし、問題があれば検査の追加や診断書の修正を、医師に依頼しなければなりません。
適正な診断書ができれば、適正な後遺障害等級認定につながり、その結果、適正な慰謝料を取得できるのです。
増額しなければ
弁護士費用はいただきません!
※弁護士特約の利用がない場合